「美紀さん…?」「……………………」
ずっとこの調子。
口を開かない。
ただただ涙を流すだけ。
「美紀さ「1人にして。」
やっと話した言葉はコレ。
出来るだけ力になりたい。ただそれだけ。
「美紀さん…。少しでも力になりたいんです。」「イイよねぇ~、咲は。」
涙を流しながら微笑む。
「なにがですか?」
美紀さんの顔を除き込む。
「だって…。駆け落ちせずに済むんじゃない?それにそうだよ。斬られないじゃん。」いつもと様子が違い過ぎる美紀さん。
私は思わず口にした。
「なんでですか?!駆け落ちするくらい、思い合えて良かったじゃないですか!私なんか昨日…「生きてなきゃ意味ない!」「そんな事ない!」
まるで喧嘩の様な言いっぷり。
「美紀さんに自分の心を預けて死んでいったのに…。そんな変な事言わないでください!」「咲…。」
やっと泣き止んだ美紀さんの顔は真っ赤で、パンパンに腫れ上がっていた。
「私、昨日土方さんに会いました。美紀さんに言われたとうり。そしたら彼は言いました。お前を好くことは出来ない。と。俺に頼らずにお前は立派に生きていけるって。でも私は納得行きません!彼がいない人生なんて…って…。」「私だってそうだった!」そう一言吐いて、その場を去って行った。
今はそっとしておいた方がいいと思い、追いかけなかった。
今1番辛いのは美紀さんだから。
それにしても…。昨日あんなに働いておいて急に夜中に駆け落ち…か…。
私はどうしたら良いのだろう。そんな事を思いながら、1人、店に戻った。