「咲?!いつになったら飯だい?」「申し訳ございません!」
こんな生活にも慣れた物だ。
「血の繋がりもないアンタを育ててやってんだから!」
お母様とは血の繋がりもない。
団子屋の養子として育てらてた私。道具の様に扱われる毎日が大っ嫌い。
「使えない小娘だねぇー。今日の晩飯は抜きだよ。晩飯並べたら今日は
外で寝なさい。」「え!?今日外で寝たら死んでしまう…」「別に死んでもらっても結構だよ。」涙が込み上げる。私を愛してくれる人なんていない。そう思っていた。晩飯の用意を済ませ、外に向かう。ガタガタ震えながら、家の隅で縮まる。死にたい。そう思っていた。
「あれ…?なぁんか可愛い娘さんがいるではないか?」
「やだなぁ…近藤さん。酔っぱらいすぎですよ。」
「アンタだって酔っぱらいだよ、総司。」
「なぁんだ。土方さんは飲めないからなぁ。」「飲めないのではない。飲まないんだ。」「はぁ…。」
溜息をついて、話を聞いている。そのうち私に気づいたのか、はなしかけてきた。「お嬢さん、なんでこんな寒い中…」「大丈夫です。」
うつむきながら答えた。え?と、返す三人。
「私はドブネズミです。」「はぁ?ドブネズミだぁ?」
長い髪をゆっている男の人が言った。
「私は咲と言います。この家の養子です。召使いみたいに使われて…。使えない小娘だなんて言われて、今日は一晩外です。」
ビックリした三人は、目の前で話し始めた。
「どうします?土方さん。町人を守るこそ新撰組…」「うむ。トシ、どうするか。」「はぁ?そんなのこいつの親にいゃーいーだろぉが!」「無理です。いれてくれません。」「私らが他所の家の事情に首を突っ込むのは…」「そぉだ!屯所に連れて行きましょうよ!」「はぁぁ?女をか!」
屯所?新撰組?え?
「お嬢さん、お年は?」「へぇ…。18です。」
「うむ…。大丈夫だろぅ。」「なにがだ!」状況が読み込めない。
「お嬢さん、今夜は屯所へおいでなさんな。」「へぇ…。私みたいな汚らしい女なんか良いのですか?」「当たり前だ!しかし…。女とはな。」「あぁ。屯所は男のみだ。」嫌だとは言えない。「男装してもイイでしょうか。」