幕末恋絵巻〜叶わなかった運命の恋〜 土方歳三 君菊 編

「お騒がせいたしました。」
土方さんの目線が刺さる。
すると近藤さんが口を開いた。
「そうだ、トシ。前に松島に行ったー…。咲どのだっけなぁ?あの子は今、いるのかなぁ。ぜひとも話をしたい。」「さあな…。」
土方さんの声にいちいち反応してしまう。
土方さん…。
「あのぉ…。」「なんだ…?」
私から話かけてしまった。
「い…ぇ…」「なんだ。言ってみろ。」
ずっと聞きたかった。
「お琴さ…「なんでおめぇがしっている?!まさか…。お琴になんか合ったのか?」「アレェー。土方さん、まだ気づいてないんだ。その子、君菊じゃなくて、咲ちゃんだよ。」久しぶりに会い、声を聞いた。沖田さん。
「はぁ?んな冗談…。」「ぁ~…」
突然、涙がこぼれ落ちて来た。
「おい、咲!」
飛び出した私の後を追う土方さん。
会いたかった。会いたくて会いたくて…。
どうしようもなかった。
ぐいっと腕を掴まれた。
「待てよ…。咲…。」「なんで今更!」
泣きわめく私を見た土方さんはまた、私を抱きしめた。
それを私は強く抵抗した。
「やめてください!なんで…!私はずっと貴方を思っていたのに…。なんで…私の顔を忘れてお琴さんの事気になるんですか!」「なんでって…。」「それに…。好きでもないのに抱きしめるのはやめてください!抱きしめれば泣き止むと思っているでしょうっ!」「じゃ…。コレなら泣き止むのか?」