幕末恋絵巻〜叶わなかった運命の恋〜 土方歳三 君菊 編

「いらっしゃいませー！」
日が落ちたと同時に新選組が来た。
私はいつもより綺麗な着物を来て、出迎えた。
ずっと探していた。土方さんを…。
でも無理だった。
目があってしまったらの怖さで。
新選組自体が部屋に入り、私は特別室の前で身だしなみを整えていた。
「行くよ、咲。」「はい…！」
美紀さんはゆっくり戸を開けた。
「お晩ドスぇ…。」
美紀さんの後に続き、挨拶をした。
美紀さんは局長の近藤さんへ回った。
私は…。土方さんについた。美紀さんの優しさ。
「君菊どす。今晩はよろしくお願いいたしま…「ん？」
いきなり土方さをの顔が近づいた。
目と目が重なり合って、息が苦しくなる。
「どっかで会ったか？」
またあの香り…。
「いいえ…。」
一瞬で涙が混み上がる。
「お調子が絡み…。失礼いたします。」
外へ出ると、いきなりおかみさんが目の前にいた。
おかみさんの腕が振り上がり、何時の間にか私の頬と、おかみさんの手のひらが衝突していた。
「会いたかったんじゃないのかい！コッチは気ぃ使ってまで、無理して特別室にあんたを移したってのに！」「？！」
涙が混み上がるより、痛みが走る方が遅かった。
「おかみさん…」
頬を抑えながら、おかみさんを見た。
優しい瞳をした美紀さんが迎えてくれた。
「私が土方さんへ回るよ。」
「大丈夫です！」
とっさに答えたのが、コレ。
私の望み。
隣にいたい。