「おはようございます、君菊さん。」「おはようございます。」
「美紀さん、おはようございます。」「おはよう。」
いつも通りの毎日が始まろうとしていた。
いつもより騒がしい松島屋。なんだろうと台所を覗き込んだ。
「おはよう、あぁ。咲…じゃない。君菊。」「やだなぁ。おかみさん。咲でイイっすよ。」フッと笑うおかみさん。「今日はヤケに騒がしいですね。」「そうなんだよ。今日、新選組が予約で入っていてね。」「何人で?」「隊士合せて136人。こない奴も結構いるみたいだけど。」「え?」
ドクンッと、心臓の鼓動が聞こえた。
「あんたは特別室へ移って貰うよ。局長を始め、お偉いさん達。」
ふと、彼の言葉を思い出した。
彼は言っていた。副長を務めついる…と。
「あぁ。美紀と行きな。」「はい…。」気持ちよく、受け答えが出来ない。
緊張して、それからは立てず、夜までは美紀さんに寝かせて頂いた。
「づ~ガーデーだぁ~!」「すみません。お手伝い…。」「イイんだよ。それより。今日土方歳三?だっけ?会えるね。」
心臓がもたない。できれば会いたくない。でも会いたい。
素直になれずにいた。