「え?!2人知り合い?」「あぁ。こいつは「知りません!!」「ちょっと…咲ちゃん?!」「ゴメンねお琴、今咲ちゃん連れてくる!」「うん…。」「…」

何時の間にか、私は泣きながら走っていた。
混乱状態の私を止めるのは、誰にも出来ないと思う。
切なかった。凄く切ない。よりによって…土方さんが…。
頭をよぎる、土方さんの顔。確かにお琴さんは…。
初めからそうだった。やっぱり手の届かない人だった。
私は…。やっぱり…ダメな人間だった。
ううん。土方さんに甘えていたのかもしれない。
だって…。あんなに最初から優しくしてくれる人にあった事がなかった。
「あー…ッ…!」
泣いても泣いても、貴方を…。

「咲!待て!」「イッ。」
優しいあの人の声。
声を聞くだけで涙が出た。
「なんだよ…。急に…」
息を切らす土方さん。
「土方さん…。結婚しちゃうんでしょう?!」「はぁ?何言って…「土方さん…、お琴さんの事好きなんでし…「チゲぇよ!!」
引き寄せられた腕からは優しいあなたの香り。
頭の中が、あなたの事でいっぱい。
「俺の親が決めた相手だよ…!幼なじみの妹みたいな奴で…「い…や…」「え?」
嬉しさと悲しさで、胸が張り裂けそうになる。
「私はあなたの事が!」「ッ…!」
苦しい…。息が出来ないくらいに引き寄せられ、声も出ない。
「ともかくッ!俺はお琴と一緒になる気はねぇッ」
信じていいのでしょうか…。
「また…。来るからさ、また…」「土方さん…」
土方さんの服が…。私の涙でビショビショになったのを気づいたのは…。
抱きしめ合う私達を見るお琴さんの行動だった。
「この人に触らないでッ!」「い…ッ!」
始めて同異性に突き飛ばされた。
転んだ傷口から流れる真っ赤な血。
「ふんっ。汚い!涙で汚すなんて…。汚らわしい!あんたなんかっ「大丈夫か?」
また…あの香りが頭の中を満たす。
私の脚の血を拭き取る土方さん。
「歳三さん!」