ヴァンパイアヒューマン−桜−



『よいしょ、よいしょ』


バダックは赤ん坊を泣きやまそうと必死にあやした。


赤ん坊はやがて泣きやみ、指をくわえて安心したように眠り出した。


『ふぅ…泣きんだ。うん?この子サラって名前なのか…』


バダックは赤ん坊の首に巻かれている、ヨダレかけに書かれている名前を見た。


バダックはサラの寝顔を静かに見つめた。


『赤ん坊まで殺すなんて俺には出来ない…こんな幸せそうに眠る寝顔を…奪うことなんて出来ない…』


バダックはそう言って唇を噛み締めた。


そしてバダックはサラを自らの背中に背負い、サラを抱きしめていたサラの母と思われる亡きがらを、土の中へと埋葬した。