『我々の大量の兵の前に戦意を失くしたんだろう。さあ、行くぞ…もうすぐで霧刻の谷に霧が戻ってしまう』
ハクはそう言って、さっさとその場を立ち去った。
『戻ると…するか…』
バダックもその場を立ち去ろうとした時、バダックの耳に赤ん坊らしき泣き声が聞こえた。
『声?…赤ん坊の泣き声だ…』
バダックは辺りを見回し、声のする方へと足を運んだ。
すると村に流れる川の辺で、大事そうに赤ん坊抱き抱えたまま死んでいる一人のヴァンパイアがいた。
バダックはそのヴァンパイアの亡きがらに歩み寄り、そっと泣いている赤ん坊を手にとり、抱き抱えた。


