ヴァンパイアヒューマン−桜−



『バカヤロー!!ミーナ様にはな、心に決めたお方がいるんだよ。グラバドールの剣士、ジャックって言う男がな』


ラッセルはリュートに向かって叫んだ。


『なに!?ジャック…だと!?』


ラッセルがジャックの名前を出した途端、リュートの顔色が一変した。


『お願い、そこをどいてリュート。あたしたちジャックの所へ行かなくちゃならないの!!』


ミーナはリュートに頼み込んだ。


それを聞いたリュートはぎゅっと唇を噛み締めた。


『行かせない…絶対に行かせない。ミーナは俺の妻になるのだ…行かせてたまるか!!』


リュートは腰に据えていた剣を鞘から抜いた。


『ちっ!!やるしかないのか!!』


ラッセルはそう言って、力強くこんぼうを握りしめた。