「とりあえず、行ってくるから……話は帰って来てからする」
「気になるじゃない」
お母さんがわたしの肩を叩く。
もー女子高生じゃないんだから、人の恋愛に興味を持たないでよ……。
「話すと長くなるし。でも、付き合ってないからね!」
それだけは力を込める。
「あら、そうなの? お母さん、健ちゃんなら賛成なんだけど……」
そう笑顔になる。
それは、いつの健ちゃんの話?
今の健太でも同じことが言えるんだろうか?
「もーとにかく! お父さんにも変なこと、言わないでよ?」
「はいはい……」
残念そうなお母さんを横目で見て、わたしは部屋に向かう。

