記憶の桜 -花空残夢-


『涼ちゃんへ

この文が君に届いてるって事は、僕はもうこの世にはいないみたいだね。


生きてる時に言えなかった事をこの文に書くよ。


初めて君に逢った時、僕は君が苦手だった。


感情が読み取れないし、笑わないし、何か死に急いでるみたいだった。


でも、君は新選組に居て、随分変わったね。


本当の君はよく笑うし、人を気遣えるし、優しい子だ。


労咳で苦しい時も君の笑顔を見ていたら、少し楽になった。


君が変わったのは、あの人のおかげなのかな…?


僕が労咳になった時、何故、こんな身体に生まれたんだろうって悔やんだ。


でも、君がこの身体に生まれたのには意味があるって言ってくれて、僕はこの身体に生まれた理由が分かった。


僕は君にそう言われて、初めて生きたいって思ったんだ。