記憶の桜 -花空残夢-



すると、新政府軍の役人が私に近付いて来る。




「釈放だ」




私の手首と身体に巻かれた縄が解かれた。




「何故…?」




「近藤勇の遺志だ。お前を釈放して欲しいと――」




近藤さん…、貴方って人は…。



「追っ手もつけん。とっとと奴らの元へ戻れ」




私は刀を受け取り、刑場を後にした。




「葛葉…」




名前を呼ばれ、顔を上げると、そこには斎藤さんが居た。




「斎藤…さ…ん…」




「く、葛葉っ!?」




足がふらつき、転びそうになる所を斎藤さんが抱き留めてくれる。




私はそのまま彼の腕の中で気を失った。