「はいっ!」 私が頷くと、彼は額を離し、顔を近付けて来た。 目を閉じると、唇が重なった。 1度それが離れると、私は彼の顔を両手で包み、今度は自分から口付けた。 そっと吹いた風が私の髪についている彼からもらった簪が揺れる。 唇を離すと、その風に誘われるうに、私と彼は空を見上げた。 青空に舞う桜が浅葱色の羽織を纏い、京の街を歩く彼らの姿と重なる。