記憶の桜 -花空残夢-



「ありがとうな、涼」




「いえ。あと、これを」




私はいつも懐に入れていた母上の形見の扇を取り出した。




それを差し出すと、彼は不思議そうに頭を傾げていた。




「これは…?」




「母上の形見の扇です」




「そんな大事な物、俺が持ってても良いのか?」




彼が持っていなくては意味がない。




だって、この扇は――。