記憶の桜 -花空残夢-



「葛葉さん」




後ろから名前を呼ばれ、後ろを振り向くと、京から一緒に居る新選組の隊士が居た。




彼は赤くなり、何か落ち着きが無い。




「どうかしましたか?」




「い、いや…、あの…」




彼はかなり挙動不審になり、終いには俯いてしまった。




でも、すぐに意を決したように顔を上げた。




「俺、貴女が好――」




「おい。何、人の女を口説いてんだよ」




土方さんはいきなり彼の後ろに立った。