記憶の桜 -花空残夢-



俺は少し離れた木の根元に寄りかかるようにして座った。




ふと、腕の中の涼の顔を覗き込んだ。




「よく寝てやがる…」




赤子のように安らかな寝顔。




そんな彼女のこめかみに口付け、包み込むように抱き締めた。



さっき涼は酔った勢いに任せ、愚痴を吐いた。




酔ってもなお、その事を言うって事は余程辛く、哀しく、苦しかったのだろう。




「二度とそんな想いはさせねぇからな…」




涼の髪を撫でるように梳くと、俺は眠りについた。