記憶の桜 -花空残夢-



土方さんは1人1人労いの言葉をかけながら、お酒を注いで行く。




私も彼の隣でおむすびを渡していた。




ようやく、全員に配り終えた頃。




兵士達が声をかけて来た。




「さあ、葛葉さんも呑んでください」




私は皆に勧められ、お酒を呑もうとした。




「ば、馬鹿野郎!こいつに酒呑ませんな!!」




土方さんは焦ったように止めて来た。




何故、彼は止めるの?




私は疑問に思いつつ、お猪口に注がれたお酒を煽った。




この時の私は京での出来事をすっかり忘れていた。