記憶の桜 -花空残夢-



「涼…」




「起こしちゃいましたか…?」




涼は申し訳なさそうに眉をひそめた。




彼女の目は泣いた後だからか、まだ少し充血していた。




「涼…、もう1人で泣くな…」




涼は少し驚いたように目を見開いていたが、すぐに彼女の目には涙が浮かんだ。




俺はその涙が零れる前に涼を抱き寄せた。