記憶の桜 -花空残夢-



今は深夜だ。




外もかなり冷えているというのに…。




俺は窓を静かに開け、涼を中に入れようとした。




でも、俺の声は発する前に思い止められた。




「もう新選組の…、武士の時代は来ないのかな…」




その言葉と共に涼の白い肌に涙が伝った。




そして、彼女は崩れるように膝をつき、声も出さずに泣いていた。