「そうだ。姉上にこれを」 そう言って、愁が差し出して来たのは1本の扇。 「これって…」 「そうだよ、母上の形見だ」 漆塗りで桜が描かれた立派な扇。 これは間違いなく、母が使っていたものだ。 「この扇が俺を守ってくれたんだ」 偶然、母上から扇を借りていた愁は尾崎に殺されかけた時、その扇が盾になり、軽傷で済んだらしい。 その証拠に扇に刀傷が残っていた。