【大鳥】


僕は土方君と別れた後、榎本さんの部屋に居た。




「大鳥君、これを見てくれ」




そう言って差し出されたのは一通の文。




文を裏返し、差出人を見る。




そこには、『片桐愁』と書いている。




片桐と言えば、江戸幕府の重臣だった者の名で、愁はご息女の婿として入った者の名だ。




そして、葛葉君の弟君――。