記憶の桜 -花空残夢-



「斎藤さん…っ!絶対死なないでくださいね!!」




斎藤さんはこちらを振り返り、頷いてくれた。




「ありがとう、『涼』」




そう言うと、斎藤さんは夜の闇に消えた。




彼が名前で呼んでくれた。




こんな時にそう呼ばれると、二度と会えないのかもしれないと思ってしまう。




斎藤さん…。




どうか、死なないでください…。




そして、また会いましょうね――。