記憶の桜 -花空残夢-



不器用だけど、優しい彼の手…。




「情けなくない。あんたにしか出来ない事はちゃんとある」




「私に…、出来る事…?」




私は涙で滲む目で、斎藤さんを見上げた。




「土方さんの傍に居て、あの人を支える事だ」




斎藤さんは小さく笑うと、頭を撫でていた手で私の目から溢れる涙を拭ってくれる。




「あの人から離れないでやってくれ」




「…分かりました」




彼は私の返答に満足したように微笑むと、再び歩き出した。