誰かに腕を掴まれ、その場に転ばされた。

一瞬なにが起こったのか理解ができなくて、ポカンとしてしまう。


「いった…」


転んだ拍子に打ち付けた腰をさすって上半身を起こすと、そこにいたのは…


「だれ…?」

「はぁっ!?」


いや、本当に知らないんですけど…。

前方上部にいる3人組の女子は、全員知らない顔。

そして皆、般若のような形相をしている。

ちょっと、人のこと転ばしておいてその顔はないんじゃない?

怒るのは私の方でしょ?

しばらくして状況がわかってきた私は、その思いのままに3人を睨みつける。

すると、その私の行動が気に入らなかったのか…1人が般若の形相のまま、口を開いた。


「あんた、何様のつもりなわけ?」

「…は?」


何様…って言われても。


「あんた、自分が性格悪いのわかってるんじゃないの?なのに私たちの王子に媚売ってさ、本当いやな感じ」

「さっさと本性見せて嫌われて来いよ」


…なに言ってるの?

確かに、性格が悪いのは自覚してるけど…。

王子ってなに?

しかも私が媚売ってるって?

何よそれ。


「…意味が、わかんないんだけど」


本当に。

人違いなんじゃないの?

それに。


「王子って、誰よ」

「「「はぁっ!?」」」


さっきよりも数倍大きな3人分の声。

…あんたたちも、ガラ悪いわね。

そんな人ほど先生の前でいい子ぶっちゃってるのよね。