「…好きだからだよ?」


早和の声が、聞こえた。

あっさりとなんてことないような口調で言われたその言葉。

すごく…嬉しかった。

そのあとから、早和は私にとってなににも代えがたい親友になった。

なんでも言い合えるような、そんな仲。

だけど…私には、贅沢な位置だったのかな…。





     ◆   ◆   ◆





「うわ…まただよ」


靴箱を開けた途端に目に入った物に、盛大なため息をつく。

最近毎日続いている。

朝、学校に来て靴箱を開けると、必ず入っている物。

ソレは…手紙。

ラブレターなんて、そんな可愛い物じゃない。

というか、むしろその逆。

ソレに書かれているのは、負の言葉ばかり。

読む気にもならないので、その場で破ってごみ箱に捨てた。


…紙と労力の無駄遣いじゃないの?


そう言ってやりたいけど…残念ながら、誰が書いているのかは不明。

自分から行動を起こしているくせに姿を現さないなんて…よっぽどのいくじなしなのね。

フッと鼻で笑って教室へ向かう。

まさかその行為で、相手に火をつけてしまった…なんて気がつかないままに。






―――放課後。

委員会が終わり、教室へ戻るために廊下を歩く。

同じ委員会だった田辺くんは、私といたくなかったのか…先に戻ってしまっていた。

それだけ嫌がられているのに教室でまた会うというのも何なので、わざとゆっくり歩きながら教室へ向かう。

階段を下りて角を曲がろうとした、その瞬間。


「ひゃ…っ!?」