信じることができない。

陽碧君や早和は本当に思ったことを口にして、素直に行動をしているように見える。

だけど東雲渉だけは…本当の姿ではない気がして。

だから私も愛想笑いしかできないのだ。

こんな状態がこれから1年も続くのかと思うと、ため息をつきたい気持ちになってきた。


「結希ちゃんと渉君って…仲が悪いの?」

「そんなことはないわよ?」

「…そう…なの?」


本当に、仲が悪いというわけではない。

ただ、お互いに本心を出していないというだけで。

よくわからないといった風に不思議そうに首をひねる早和。

そんな早和を見ながら、この子は大切にしようと思った。

いつも、私の周りには人はいない。

学校でもどこでも、たいてい1人。

それは私の性格のせいなのか、それとも別のことのせいなのか…。

はじめ「友達になろう」と言ってくれた子でも、しばらくすると離れていった。

私はそんなに一緒にいて楽しくないのだろうか。

まぁ、今まではそれでも大して何も感じたりはしなかったけれど。

でも…

まだ出会って間もないのに、まったく曇りのない素直な笑顔を向けてくれるこの子だけは、ずっとそばにいてくれたらいいのに…と、思った。


「結希ちゃんっ」

「なに?」


目をキラキラと輝かせる早和に首をかしげる。

私のストレートの髪がサラリと一緒に動いた。


「結希ちゃんって本当に美人さんだよね。うらやましいなぁ…」


…何を言っているのかしら、この子。

思わずそう思う。


「…早和は十分かわいいと思うけど」


それこそ、男子が放っておかないほどなんじゃない?


「えぇっ!?まさか!結希ちゃん、お世辞はいいよ!」


自分がどんなにかわいいか自覚がないの?

そう思った矢先…


「…無自覚」