「別にそんな心配する必要ないんじゃないの?」
恥ずかしいから、ふい、と渉と反対の方向を向く。
「それは…どういう意味?」
「そのまんまの意味ですっ」
別に、そんな心配をする必要なんてない。
だって、私は…
「…結希?ほら、こっち向いて教えてよ」
「わかってるくせに」
「…わかんないから。教えて?」
ぜっったい、嘘だわ!
そう思ってるけど、私は、渉の腕に逆らわない。
「ほら」と、顔を覗き込まれたから、ムッと睨んでやった。
「ん?」
と、渉は全く堪えていない余裕の表情。
あー、もうっ。
「…だから、」
「うん」
「私が一番好きなのは、渉なんだから…心配しなくてもいいってことっ」
「…うん」
心底嬉しそうな響きの相づちが返ってきて、恥ずかしさが倍増する。
「俺も、結希が一番好きだよ」
そう言って、不意打ちに額にキス。