まっっっったく予想してなかったわ!

思わず立ち止まって、無意識に上げそうになった声を口を塞ぐことで何とかこらえた。

渉が告白されてるってだけでも結構な衝撃なのに…

私は、更に衝撃的な事実を知ることになる。


「あー……、ごめん…。俺、好きなヤツ、いるから…」



……………………え?

い、いま…わたる、なんて言ったの?

「好きなヤツ、いるから…」って…。

本当…?

なぜか、胸がドキドキする。

それは全く心地よいものでもなんでもなくて…。

「不穏」。

そんな言葉が当てはまるような、イヤなドキドキ。


「…あ、はい…。わ、わかってました、から…」

「…そっか。…ほんと、ごめんね」

「いえ…。あの…その人には…渉君は、告白…しないんですか?」

「え…?」


………っ!

渉が…告白…?

うそ…。

だれに…?

何故だかふるえだした両手をギュッと握りしめる。

聞きたいような…聞きたくないような…。

矛盾する思い。


「あ、ごめんなさい…よけいなこと…」

「今は、まだ、しないつもり」


女の子の申し訳なさそうな声を遮って、渉が言った。

…「まだ」、って…。

じゃあ、いつかは告白するってこと…?