そしてそれから、体育祭、文化祭、冬休み、クリスマス、お正月、…とあっという間に季節は流れ。

2月になった。

ついこの間私立の推薦入試を受けたばかりの私は、今は結果を待っている。

ちなみに、私と渉、早和と明はみんなそろって『陽碧学園』を推薦で受けた。

陽碧学園…っていうのは、言わずと知れた、陽碧財閥…明の家が理事を務める私立学校のこと。

明と早和はいつもテストで1位を争っている2人だから心配は全くしていないし、私と渉もあのずば抜けた2人にはかなわないまでもそこそこの成績をキープしているから、大丈夫だと思っている。

…と、いうよりも。

私の目下の悩みはそれではなく。

私が今一番心配しているのは…2月14日に迫ったバレンタインのこと。

やっぱり、渉と明にも一応義理としてあげなきゃダメかしら…。

今まではお父様やお母様とか…決まった人にしかあげてなかったけど。

今年は早和がいるし、初めての『友チョコ』を作ってみたい。

…でも、そうなると必然的に渉や明にもあげないと悪いかな…とか考えてしまったりする。

そりゃ…明には早和がくれるチョコ以上に嬉しいものなんて無いんでしょうけど。

あの2人、周りにはお互いの気持ちがバレバレなのに、当の本人たちだけが気付いていないのよね。

あれだけわかりやすいのに…。

まぁどっちにしろ、いつかは必ずくっつくんだから、こっちとしては「早くつきあっちゃって、こっちを安心させてください」って感じ。

ほんっっっっっっとうに、見ていてもどかしいのよ。あの2人は。

……そんなことより。

ほんとにどうしよう…バレンタイン…。












ーーーーそれを聞いてしまったのは、本当に偶然の出来事だった。


結局渉と明の分のチョコも作ることに決めた私は、その日の放課後、たまたま担任の先生を手伝って帰りが少し遅くなった。