「よかった…これだけはなくしちゃダメだもの」
ホッと息をついて、バッグにそれを入れ、今度こそ帰ろうと思った時。
突然、教室の窓からピカッと強烈な光が襲い、その数瞬後…
ド―――――………ン!!!
「きゃぁぁぁあっ!!」
近くに落ちたんじゃないかと思うくらいに大きな音で雷が鳴った。
その大きすぎる恐怖に、反射的に身を固くして両手で耳をふさぐ。
そのまましゃがみこみ、小さく背をまるめて雷が鳴りやむことだけを祈った。
…どうしよう…。
このままじゃ、動けない…。
ゴロゴロゴロ………
「……っ、だれ、か…」
ド―――――………ン!!!
「きゃぁあっ!!!」
お願い…誰か、
………たすけて…っ!!
ギュッと目を瞑り、強くそう願った時。
「…結希?」
少し離れた所から、驚いたような響きを含んだ声が名前を呼んだ。
その聞き覚えのある声におそるおそる顔をあげて、その声の主を探す。
さっき自分が開けたドアの下に…その人はいた。
「…ぇ…、わた…る…?」
自分でもわかってしまうくらいに情けなく、震える声。
でも、それを止めることはできなかった。
「…え…?ちょ、お前どうしたんだよ?そんなに震えて…」
私の声を聞いた渉が、焦ったように駆け寄ってくる。
私の目線に合わせてかがんだ渉の目には、心配そうな色が映っていた。
その瞳を見て、なぜだか少し安心する。
しばらく、震えをおさめようとするかのようにポンポンと私の背中を叩いていた渉は、ハッと気がついたようにして私の顔をのぞきこんだ。
「…あ、まさか、またあの3人が…!?」
「ち、違うっ!そうじゃないの!あの人たちは関係ないから…」
慌てて渉の言葉を否定する。