当の本人も、言い当てられたことに驚いているみたい。
すると東雲渉は、その瞳をより一層冷たく輝かせて…最悪な言葉を吐いた。
「確か成宮商事はウチの下請けでしたよね…?あなたのお父上の会社を…経済界から抹消して差し上げましょうか…?それも、一晩で」
「…!?」
衝撃的な言葉に息をのむ女子生徒を見て、ニヤリと口端を釣り上げる東雲渉。
そのうちカタカタと女子生徒の体が震え始め…その少女は、同じように震える声を発した。
「そんなこと…いくら、あなたのお父様の権力が強いとしても…無理な話です。たった一晩で…だなんて…」
その言葉を聞いた東雲渉が、フッと嘲るような笑いを少女へと落とした。
「…誰に向かって、そんなことを言っているんですか?一晩では無理…だなんて。成宮商事の取引先との関係を全て切ることなんて、造作もないことですよ?本当にできないと思っているんですか…?ウチの、会社に…?」
「………っ!!」
さぁ…っという音が聞こえてきそうなほどみるみる青くなっていく少女。
そう。
できないはずがない。
彼の家は、日本を代表する財閥のうちのひとつなのだから…。
それがわかっているからか…なぜか私のほうが彼女を見ていてかわいそうに思えてくる。
被害を受けたのは私のほうのはずなんだけど…。
「けれど、もし…」
静かに、東雲渉が口を開いた。
「今後一切、そこに座りこんでいる…華坂結希に近付かない、と誓えるのならば…やめてあげてもいいですよ?もちろん、他の2人も一緒に、です」
………え?
私…?
突然話に加えられたことに、ついていけない。
なぜ今私が出てくるの…?
思わず、東雲渉の横顔を凝視してしまう。
なぜ…私を助けるようなことをするの?
「ち、誓います…!もう、今後一切、彼女に手出しなんてしませんから!だから父の会社だけは…!!」
すがるような瞳をして、東雲渉を見上げる少女。
そして、その少し後ろでこの状況におびえたように身を小さくしている後の2人。
その3人を見て、再び嘲笑を浮かべた東雲渉は…

