「そりゃすげーな。甘党って言うより、単なるバカやろうだな。」
アリは俺の言葉に笑っていた。普段はあまり感情を出さない彼の、新しい一面を見たような気がする。
「話は変わるけどな」
アリの口調が変わった。俺は真剣にアリを見る。
「パステルの事か?」
俺の問いに、アリは黙ってファイルを取り出して開いた。
「資料室に閉まってあった古い記録だ。 いくら俺達が体験した事であっても、時間が経過するにつれ忘れてしまうからな。こうゆう記録が残されている訳だが。今から約六百年くらい前のことだ、俺達は今回とよく似た状況に遭遇した事がある。 ここから読んで見ろ。」
と言って俺にファイルを手渡した。 ずいぶんと紙が変色して黒ずんだそのファイルは、長きに渡る俺達の歩みを表しているようだった。 俺は開かれたページに目をやる。 そこには、かすれた文字でこう記されていた。
“リーダーの調査結果により、エイトの本部施設を発見する。現在ユリスの記憶は戻っていないが、彼女自身の了解は得られるまでに至り、現場に同行してもらう。