「…朧」


そんな顔を
するな。

そんな目で
みつめるな。

そんな微笑みを
見せるな。

そんな気遣いを
くれるな。

そんな優しさを
与えるな。

こんな期待を
持たせるな。

独りでいたのに。

ずっと独りで
生きて来たのに。

歩けなくなる。

動けなくなる。

息もできなくなる。

戻れなくなる。
独りに。

戻れなくなる。
もう二度と。

あなたがいない、
その事に

耐えられなくなる。
どうしても。

あなたがいない、
その事に

色を失う。
すべての物の。

そうならないように。

そうなる前に。


……嗚呼。

でも。



「……朧」



線を引くのに願ってしまう。

『入ってこい』と。

突き放すのに望んでしまう。

『心が欲しい』と。


俺の明日にあなたを求めては、ならないのに。

あなたと俺の未来など決して繋がりは、しないのに。

あなたと出会わなければ未来など、夢見たことはなかったのに。



なのに。

嗚呼。


……なのに。



愛しさだけが
溢れていく。

伝えられない
愛しさだけが。


この想いを
止める方法が



わから


ない。