食事は届けられるのか。

日の出が過ぎてしばらくしたあと、数人の召使が冷えた食事を持ってきた。

言葉もなく、ただ単調に私に与えられる『餌』。

17年間続けられたこの流れは、場所をかえただけでまだ私につきまとう。

城からここまではやや距離がある。

たった一食を届けるために歩かされた彼らに申し訳ない気持ちになった。

『贄』の食事など気にしなくてもいいのに。

そう思う反面、そうもいかないのだろうという事も理解できた。

私は『西の国の正室』。

誰もがそれを名ばかりのものだと知っていたとしても、私は『西の国の正室』。

飢え死になどという醜聞は許されない。

何の権限も許されていない『正室』という名称は、自分以外の人間に迷惑をかける枷でもあるらしかった。


虚しい。


食事を運んできた人間に礼を言い受け取ると、不可思議な顔をされる。

私が冷えた食事に異論でも唱えると思っていたのだろう。

質素な内容に激怒するとでも思っていたのだろう。

隔離され摂食するという境遇を問いただすとでも思ったのだろう。


…そんな事
するはずがない。


彼らは知らない。

知る必要もない。


そんな事、私にとっては『いつもの事』だという事を。