ドキッとする。

実際、すごく格好いい人だ。

しかし、そんな私のときめきをよそに


「あんたさ」


彼の声には敵意や苛立ちしかなかった。


「やり方が汚えよ」


……やり方?


黙って次の言葉を待っていると、それが反抗的に見えたらしい。

彼の眼光が鋭くなる。


「ちょっと知り合いに権力者がいるからって、恋人のある無し関係なく収入の安定した男紹介してもらうなんて最低だろ。残業も知らねえお堅い公務員様にはそういう道徳観念もねえのかよ」


色々、間違っていると思った。

思ったけど、言われた内容と叩きつけられた軽蔑に、言葉が出なかった。

それを肯定ととったのだろう。

呆れたように大仰に息を吐き、見合い相手の男性に向き直る。


「見ろよ。顔色変えもしねえ。俺達が言い合いしてるときもすまして茶を飲んでた。したたかな奴だ。お前、こんな女のためにマリ泣かせてんだよ」


その言葉を信じたか信じなかったかは、私にはわからない。

胸の痛みに耐えるため、少なくなった紅茶の水面を見ていたから。

ただ、乱入者のその言葉は確実に見合い相手の背中を押したようだ。


「俺…行ってくる」