子供みたいにぐずる私の背中に、李子の手が当てられた。


中1の頃から私が混乱していると、李子はこうしてくれる。


すると不安やら何やらが、スゥーーーッと泡みたいに消えて行くの。


マジック・ハンドだわ……李子さん。


「でも良かったの?李子。式典サボっちゃって」


「いいのよ。堅苦しい式典、苦手だしね私」


私と李子は今、式典が行われている元・凛兎学園グラウンドにはいない。


昨日から元気が無い私を見かねた李子が、ムリしないでって一緒に抜け出してくれたの。


で、学園の近くの公園に逃げて来た……というワケ。