洋夢は慎之介と利晴に引っ張り上げられ、まだ頭を擦っている。


私が丸めた教科書で力の限り叩いたので、相当痛がっていた。


「洋夢、お前美名に何したんだよ?」


首を傾げながら洋夢に問いかける慎之介。


窓から見える空は、慎之介の髪みたいな薄い水色だった。


「えと…美名が勉強してたから、オレも教えて貰おうと思ってさ……」


「ハァ!?お前が!?オイ………明日、台風やって来るぜ。皆気をつけろよ」


利晴がマジメな顔で言うと、周りに集まっていた生徒が数人吹き出した。


だが私の顔は怒りで歪んだまま、治らない。