チョークの粉はパラパラとその場に落ちただけだったけれど、その中に混じった小さなチョークの欠片が一つだけ、瞬の顔に当たる。


「ってぇー!真姫てめぇ何すんだ!」


そう言いながら瞬が立ちあがってあたしの方に近付いてきた。
…う、ひ、怯むなあたしっ!


「しゅっ…瞬が爆笑するからでしょー!?」

「はぁー!?お前が面白すぎることすんのが悪ぃんだよ!」

「なーんですってぇー!?」

「遠野さん!服部くん!いい加減にしなさいっ!」


パシンパシン!
あたしと瞬の頭を先生が名簿表で軽く叩く。


「あいたっ!」

「てっ…!」

「まったくあなたたちはいつまで経っても落ち着きがないわね!
放課後、職員室まで来なさい。」

「え!?」

「はぁー!?俺もですか?」

「当たり前でしょう。」

「真姫のせいで俺まで…。」

「瞬…あんたねぇ…!」

「いーかげんにしなさい!もう一発叩かれたいの?」

「いえ。」

「も…もう間に合ってますっ!」

「遠野さんは早く答えを書いてください。その間に服部くんはチョークの片付け。」

「マジかよー…。」

「先生はマジです。さぁ早く。」

「はい…。」

「はーい。」


クラス中がくすくす笑う中、あたしはなんとか黒板に向かった。