甘えたくても甘えられなかった。
いつもそばにいた、幼なじみの灯しか…
そんな灯にさえも、甘えれないことがあった。
いつも甘えてばかりいて、気を遣わせて…
それを気にして…
甘えられずにいる。
灯はいつも、そんな俺に甘えていいと言ってくれる。
だけど、灯にこれ以上迷惑かけたくなくて…
「甘えてくれると…あたしも嬉しいです。信用してくれるみたいで…」
灯も…そう想ってくれていたんだろうか?
だから…いつも甘えていいって言ってくれたんだろうか?
だとしたら…俺は灯を傷つけていた?
知らないうちに…泣かせていたのか?
だとしたら…俺は灯に謝らないといけない。
「……先輩…あたしと付き合ってください」
「…え?」
今…何て言った?
俺が聞き返すと、灯は今度ははっきりと言った。
「…あたしと付き合ってください。あたしが…先輩の傍にいます」
凌花の腕から温もりが…
想いが…伝わってくる。
凌花は同情しているんじゃない。
本当に…俺のことを想っていてくれているんだ。
灯と…同じように…。
誰かの…凌花のぬくもりに寄り添えば…
俺のこの気持ちも変わっていくのだろうか?
俺がもっと前へ進むために…
俺は…凌花と…
「…先にいっておくことがある。俺は初め…凌花のこと、本気にならないって思ってた」
凌花もきっと…俺を利用していると思っていたから。
利用する気なら、俺も利用しようと思ってた。
だけど…凌花が俺を利用してるわけじゃないって知って…
俺のことをちゃんと見ててくれて…思ってくれて…
少しだけ、信じようと思った。
「…だけど少しだけ、信じていいか?」
俺がそう聞くと、凌花は嬉しそうに微笑む。
ぎゅっと俺を抱きしめる力が強くなる。
「…うん」
少しだけ…過去を振りかえっても辛くなかった。
それはきっと…傍に凌花がいるから。
俺の心が変わっていく、瞬間でもあった。

