図書室の秘め事*50㌢の距離*




悲しみの似ている彼女なら…この気持ちが和らぐんじゃないかって。
結局、俺たちはお互いを利用しようとしていた。



好意なんかじゃなかった。
利用しやすい相手だった。



分かっていたはずなのに…
こんな悲しい気持ちになるのは何でなんだろう。



「…俺を利用しても悲しみは埋められない」



「…先輩もあたしと利用しようとしていたのに」



と、彼女は不満げに呟く。



そうだよ。
確かに最初はそうだった。



俺が利用しようと分かってたから、彼女も利用しようと思ったんだろう。
分かっていた。



だけど…



「…今は違うんだ」



利用しようと思っていない。
ただ単純に彼女の傍にいたいと思った。



俺がそう言うと、彼女は顔を俯く。



「…ずるいです」



「俺は…ずるいよ」



だから…止めたほうがいい。
俺といても、彼女には意味がない。



悲しみを埋められるわけない。
俺はちっぱけな存在だから。



幼なじみに気を遣わせて…
いつまで経っても、前に進めずにいる。



同じ悲しみを持っていても、きっと悲しみを消すことができない。
俺は足手まといのような存在なんだ。



俺がそういうと、彼女は俯いていた顔を上げる。



「…先輩が羨ましいんです。あたしと似ているはずなのに…あたしよりも前を向いている」



「気のせいだよ」



と、俺は苦笑する。
きっとそれは、そう見えるだけだ。
だけど彼女は首を横に振った。



「…先輩が気付いていないだけです。きっとあたしは…」



そういいかけて、彼女は顔を俯いた。
俺は気になったが、なにも言わなかった。