悲しみの似ている彼女なら…この気持ちが和らぐんじゃないかって。
結局、俺たちはお互いを利用しようとしていた。
好意なんかじゃなかった。
利用しやすい相手だった。
分かっていたはずなのに…
こんな悲しい気持ちになるのは何でなんだろう。
「…俺を利用しても悲しみは埋められない」
「…先輩もあたしと利用しようとしていたのに」
と、彼女は不満げに呟く。
そうだよ。
確かに最初はそうだった。
俺が利用しようと分かってたから、彼女も利用しようと思ったんだろう。
分かっていた。
だけど…
「…今は違うんだ」
利用しようと思っていない。
ただ単純に彼女の傍にいたいと思った。
俺がそう言うと、彼女は顔を俯く。
「…ずるいです」
「俺は…ずるいよ」
だから…止めたほうがいい。
俺といても、彼女には意味がない。
悲しみを埋められるわけない。
俺はちっぱけな存在だから。
幼なじみに気を遣わせて…
いつまで経っても、前に進めずにいる。
同じ悲しみを持っていても、きっと悲しみを消すことができない。
俺は足手まといのような存在なんだ。
俺がそういうと、彼女は俯いていた顔を上げる。
「…先輩が羨ましいんです。あたしと似ているはずなのに…あたしよりも前を向いている」
「気のせいだよ」
と、俺は苦笑する。
きっとそれは、そう見えるだけだ。
だけど彼女は首を横に振った。
「…先輩が気付いていないだけです。きっとあたしは…」
そういいかけて、彼女は顔を俯いた。
俺は気になったが、なにも言わなかった。

