─家にかけこんで金を
かきあつめて財布にいれた。

そしてそのまま家から出て行─...
「悟っッ!」

反射的に振り向いた俺の目に
うつったのは姉ちゃん。

「あんた、どこ行くの?」

「...うららの父さんが何かあった
みてえなんだよ。」

「はあ!?だから何だって言うの!?
あんたは行かなくていいでしょっ!」

「そうだけど...今うらら1人
なんだよっ!」

「...執事とかメイドとか色々
いるはずだから大丈夫でしょ。」

呆れたように姉ちゃんは俺をみる。

「...そうだけど...そうだけど
うららは俺に助けを求めたんだ!
今行ってやらねえでどうすんだよ!」

「あんたね、まだ高校生なんだから
大人しくしてなさいよ。そういうことは
お母さんが帰ってきてからで
いいでしょっ!」

「今日帰って来ねえだろ!」

怒鳴り声が部屋に鳴り響いた。
姉ちゃんは目を見開いた。

「...沙菜はどうしたの?」

「沙菜は分かってくれた。」

「違う。悟が思っているほど沙菜は
強くないんだよ!」

姉ちゃんの目には涙がたまっていた。

「...なんで...姉ちゃんが
泣いてんだよ......。」

「泣いてなんかなぃ.....。
悟っ.....お願いだから行かないでよ。
こんなの...ひどぃ...でしょ?」