だから...絶対に...絶対に
憎まない─。

「...沙菜様。あなたが悟様の彼女で
本当に良かったです。」

「え...?」

「うらら様は...年下のあなたに
憧れているんですよ。」

「わっ私にっ!?そっそれは絶対
ないですって!」

私がうららちゃんにあこがれているのに...。

「沙菜様は、なぜいつもあんなに
笑っていられるのだろう?と
聞かれました。ははっ。
では─。また─「執事さんっ!」

執事さんは靴をはきかけていたのを
やめた。

「私...心から笑ってません─...。
私─...うららちゃんの気持ち...
分かりますよ?私も...母親亡くしたんです。」

「え...?」

執事さんの顔が少し歪んだ。

「うららちゃん...私に似てるなあって
思いました...。けど、うららちゃんにも
私にも...悟がいました。
私ー...悟のおかげで心から笑えました。
寂しい気持ちも...半分になりました。
だから...うららちゃんも...その...
えっと...悟と...一緒にいて...幸せなら...
私が嫌だけど...えっと...
「そう伝えておきますっ」

え...?

執事さんは靴をはいて頭を深く下げて
高そうな車に乗っていった。

きっと執事さんは、頭がいいだろうから
私が言っていた通りに全部
うららちゃんに伝えるのかな...?

でも─...執事さんには、伝わったかも
しれないけど─...
あれを言った自分が...
何を言いたかったのかさっぱり分からない。

けど─...今は、とにかく悟に
会いたいよ─。私はいま...
うららちゃんが1番うらやましい。