うららは今まで溜め込んでいた涙を
一気に流した。

「どうしよう...あたしが...
気づいていれば...あたしだけ...
この夏楽しんで...いたんだ...。
...お父さん...ずっと働いて...
あたしの婚約者とか...探して...
いたのに...あたし...あたし...。」

「もう、何も言うな。」

俺はうららを強く抱きしめた。

「だって...だって...「大丈夫。」

姉ちゃんがうららの頭を撫でた。

「お医者さんも全力尽くして
くれるんだから。うららちゃんが
泣いてばっかだとおじさん
疲れて治療どころじゃなくなっちゃうよ?」

「う...ん。ごめんな...さい。」

うららはその後ずっとずっと
謝って泣き続けていた。

俺はソレをだまって見て
うららの頭をなでてあげることしか
できなかった─.....。

誰もこんなことがおきるなんて
予想さえしていなかった。

考えていなかったんだから─。