「悟.....。」

俺がうららがいる病室に
行こうとすると沙菜が俺の腕を
つかんだ。

「何?」

「私は...ここで待ってる。」

「え?」

「今私...うららちゃんに会ったら
怖いの。思い出したく...ないから。
...ごめんなさい。」

沙菜は下を向いてうつむいている。

「ばーか。」

俺は沙菜の頭を軽く叩いた。

「え.....?」

沙菜はそれと同時に俺を見上げた。

「お前はなんも悪い事は
してねえっつーの。大丈夫。
ここで待ってろ。」

「...うん。」

沙菜は頭をおさえながら苦笑いをした。

俺と姉ちゃんでうららの病室に
向った。

─ガララッ

「うら...ら?」

病室に入るとイスに座ったまま
固まっているうららがすぐ
目に入った。その横にはうららの
お父さんが眠っていた。

「悟...ちゃんっ!」

うららが急に俺に抱きついて
泣き出した。

「信じてる...の...助かるって...
でも...無理かも...しれない...って
お医者さん...言って...た。」

「うらら.....。」

「相当...ガマン...してた...らしい。
お父さんに...嘘...ついたのに...。
何で...あたしが...お父さんの...
娘なんだろ.....。」