「悟ちゃん、ありがと。」

うららは俺の事を抱きしめた。

「うらら...お前、会うのか?」

「...会いたくない。けど、仕方がない。」

「うららは幸せにならなくて
いいのかよっ!?」

興奮してうららの肩を揺らしていた。

「...なりたぃ...ょ。幸せに。」

「...うらら。」

「でも...だめみたい。私...
私はパパの言いなりになるために
生まれてきたんだもん.....。」

こういう時って何ていえばいいんだろう。
うららはいつも小さい頃から人と違う
生き方をさせられていた。だからうららは
わがままを言う事をあまり知らない。
けど今日のうららは...ほんとに
ツライんだと分かった。

「私...家、出て行くって決めた。」

「は!?」

うららは俺をおいて急に歩き出した。

「私、1人で暮らす。」

「...どこで?」

「...どこならいいと思う?どうしたら
幸せになれると思う?」

うららは俺の手をギュッと握った。

「...うららの幸せは何?」

「私の幸せは...悟ちゃんとずっとずっと
一緒にいること。だって約束
したんだもんね?」

約束─...。

「うらら...ごめん。俺...「見えないふり?」

「え...?」

うららは空に手を伸ばした。

「見えないフリするんだ。そうやってみんな。
私...何度も死のうとしたよ。」

うららは俺に手首を見せてきた。

「これ─...。」