沙菜Side

「おにいってば!」

「...。」

「ひっぱりすぎっ!痛いよっ!」

するとおにいはゆっくり振り向いた。

「沙菜...。」

「なに??」

「もう...思い出すな。母さんは俺達のこと天国から見守ってくれているんだからよ。」

「っ...。」そんな優しい言葉今の私にはかけないでほしかった。

「沙菜...。」

「私...許せないの。犯人のこと...」

「沙菜...。」

「お酒飲んで運転してたんでしょっ!?それでお母さんのことひいていって...なのに逃げたんだよっ!そのくせして見つかって捕まったら...ぼーっとあるいていた女が悪いって...。なによ...それっ!私...私絶対許さないっっ!だって「沙菜っっ!」

久しぶりにおにいは怒鳴った。

「もう...何も言うな。それに...ここは住宅街なんだからな...。」

「あ...。」

そうだった。つい興奮してしまった。
私たちを見ている人は私と目があうと急いで家の中へ入っていった。


「おにい...。」

「母さんのために...忘れろ。」


「っっ─...!」

「忘れて...俺達が幸せにならなきゃだめなんだよっ...。」

「忘れるなんて...できないょ...。」