「毎日つらかったわ。地獄に
突き落とされた気分だったわ。
私は...1人ぼっちに
なっちゃったんだもの。」

なんと言えばいいのか
分からなかった。

「けどね、そんな私にも...
一つだけ希望ができたの。」

「.....?」

「お父さん...よ。本当の。」

オヤジ.....?

「それから毎日幸せだった。
だけど私はあの人に隠していたの。
本当の今までのことを。
最低よね。分かっているのに。
言ったらあの人がどこかへ
消えていってしまいそうで辛かった。
怖かったのよ。プロポーズされたとき
言わなきゃって思ったのよ。
そしたら...時間はかかるけど
受け入れてくれるって言ってくれたの。
私...嬉しかったわ。死ぬほど嬉しかった。
けど、初めて自分がどれだけおろかな
人生をおくってきたのか分かったわ。
巻き戻し可能なら...何もかも
やり直したかったわよ。
けど...昔のヒドイ過去を塗り替える
ために...俺と出会ったんだろう?って
言ってくれたの...。
だから...私は後悔も沢山あるけど
幸せだった。
幸せよ。現在形よ.....。」

今になってなんてことを言ったんだろうと
思った。

「...ごめん。」

「...あんたが生まれてきてくれてよかった。
クリスマスだけ...よ?」

母さんは白い歯を見せてニッと笑った。

いつしかみたことがある母さんの
若い頃の写真のようだった。
きっと母さんは若い頃こんな顔をして
笑って父さんと過ごしてきたんだろう。
この先ずっと─。