トイレまで行くと様式から異様な
臭いが漂う。

「...西本、お前デカか?」

「うっせ。デカだよ!」

「くっせえ。何とかしろよ。」

「分かってるって。朝から牛乳
飲みすぎたんだあほ。」

「...くせえから戻ってもいい?」

「あほ。だめだ。...うっ...
ぐるじ...「まぢ戻るから。」

鼻をおさえて出て行こうとしたとき
だった。

「待てよ。...大宮、何隠してんだよ。」

「...はあ?」

意味のわからねえ俺は冷たい口調になる。

「お見通しだ。朝からソワソワして
玲奈のこと見てるじゃん。
で、また何かあったのかと思ったわけ。」

俺は少し間をとった。

「...はは、別になんもねえけど?」

俺が言い切るか言い切らないかのうつに
西本がまた喋った。

「俺には隠し事なんてできねえよ。言え。」

「...はぁー、うるっせえやつだな。
お前KYだな。...引越しが少し早まりそうな
だけだ。期待してたのと全然違って
ごめんなさいねー。」

「...そうか。どんくらい早まるわけ?」

「クリスマス前には...行くって。」

「は!?まぢかよ。それ、てかお前俺に
クリスマスくれるわけ?」

「はあ?なんでそうなんだよ!
てかお前まだ諦めてねえのかよ!?」

「冗談だ。あーほ。」

─ブリッ

「...お前くっせえ。」

「はは、だな......悪ぃ、次の授業
でれねえって伝えておいて。」

「ああ。」

そう言って俺はあの臭いトイレから
出て行った。