和也Side
家にも玲奈がいねえ。
携帯に電話してもでねえ。
何してんだよ...アイツ。
─ガチャッ
「ただいま。」
やっと帰ってきた。
俺は小走りで玄関に向かう。
「玲奈、お前こんな時間まで何
して...うおっ!」
完全にパニクっている俺。
だってこれは...何なんだ?
「玲...奈?」
玲奈から俺を抱きしめてくるなんて
珍しいだろ。
しかもいきなりだぞ...?
「おい、玲奈...?」
玲奈は全く俺を離そうとはしねえ。
「なあ、聞いて...んのかよ?」
「和也ー...?」
「んっ?」
玲奈の甘い声でつい声が裏返った俺。
「...もう和也だけで十分だね。」
意味が分からない俺はただ玲奈を
抱きしめていることしかできなかった。
「...なあ、やっぱ変だ。玲奈
どうしたんだよ?」
「んー...ほんと変だね。」
玲奈はいつものようにやわらかく
笑って俺を見た。
─────
─バンッ
道場では大会が近いせいなのか弓を
引く音が響き渡る。
「っち。」
隣で弓をうっている西本は最近
調子が悪い。
今日は一回も的に当たってねえ。
「...弓あってねえんじゃね?」
ソッと俺は声をかけた。

