龍也は私の手を引っ張ってどんどん
グラウンドに入っていく。
「はー、いい風。」
龍也は手を広げて風を吸っている。
ハッキリ言って龍矢のしたいことが
分からないよ。
「俺らが初めて喋った場所って
ここだったよなー。」
え...?
「何言って「玲奈は、体育見学していて
ここで座ってみんなを見ていた。
そんで俺の蹴ったサッカーボールが
玲奈の元まで転がっていってさ...。
不思議だよ。あの時一瞬時間が
止まったような気がしたんだ。」
何を...言っているの?この人は。
だって龍也は...
「あ、俺が昔の話してるから驚いてんの?」
「だっだって...龍也の記憶には...。」
動揺していて上手く喋れない私。
それに引き換え龍也はどんどん
昔の話をしていく。
「ふっ、思い出したんだ~。
少しだけだけどさ...。どんどん
中学の記憶がよみがえってくんだよ。
玲奈にフラれた日に1人でここまで
来た。うそみてえに記憶がどんどん
蘇ってくんだよ。」
龍也は、鼻で笑っている。
「まっ待って。はは...は。意味わかんない。」
今更...何これ。
龍也は黙ったまま私を見下ろしている。
私は、頭を抑えてしゃがみこんだ。
「玲奈に初めて話しかけた一言はこう。
『何してんの?』だったよな。」
自然と記憶が蘇る。
まだ少し押さないわたし達。
─『何してんの?』
『...見学だけど。』
急に話しかけられてそっけない返事を
した私─。
『へぇ...。つまんなくね?せっかくの
体育なのにさっ。』
『体育だいっきらいだからいーのっ!』

